~自然の谷川に寄り添って~
私たちが此処、名張の地をオーガニック(有機) に適したところだと感じたのは探し求めていた自然が残っていることを知ったからです。みんなで力を合わせて楽しい暮らしの夢を実現してゆくのに好都合なところだと見たからに他なりません。
どんな点が良かったのか、それは今日までの都市生活や労力の場があまりにも自然から切り離された状態の環境に縛られていたことの比較から感じ得たものです。
その現実として都市生活者の中に多くの病人や健康を失った人たちが増大の一途となっています。そのような環境の悪化した社会には遂にコロナ(ウィルス)も人間の体を拠り所として繁殖できる好適物であることを知り、新型ウィルスとなって猛威を振るうまでになったと思います。
しかしこの名張の地では新型のコロナはそれほど猛威を振るうという状況までには至っていません。どうしてなのか私たちが考えられるその理由は、名張の自然環境に優れた要因があるのだと体験により知ったからに他なりません。
昔むかし、ここ室生や赤目地域は地球の激しい地殻変動があった頃に隆起発生し、あちらこちらにカルデラ(お椀)状の盆地ができました。今日でもその形状が見られますが長年にわたり風、雨、氷、雪に岩山は洗われ流されて、里山の道路補修や掘削工事の中で岩石や砂利石の中に貝殻の化石などもしばしば発見されていることで解ります。
こうした地域に湧きあるいは地下を流れて里山に暮らす人々の生活に利用される水は見た目にも綺麗ですが、味もまた違います。
それは井戸水に表れていますが、とりわけ中山間地帯の浅いどは美しく、都市生活者やハイキングなどで訪れる人々が飲んで水の味に異口同音を発します。「水の味が違う」「味に深みがある」などと言う人が多いのですが、出されたコーヒーを飲んで「この旨さは水のせいだな?」と言う人も。
私たちがこの地の水に注目するのは、日頃の雑食によって汚れる血を綺麗にする上で欠くことのできない質を持っていることを感じたからです。
私たちの体は毎日の食生活で汚れるため、きれいにする水と空気、それらで育った野菜果物が必要ですが、ここ名張には揃っていることを感じることができますし、体得することも可能なところです。
この自然由来の環境は利用するだけでなく守らなければならないことを教えてくれる黙示録のある地であることも訪れる人々に共感させることでしょう。
さらに先述したカルデラ(噴火による隆起)が造り出した地形は、その高低や岩石、土質などで昼間は温かく、夜は冷たい気温の作用で、農産物が美味で食べる人を驚かせます。
特に露地野菜にはその違いがはっきりと感じられます。
終わりにこの地域の地形がもたらす樹木の生育が極めて早く、巨木にたってゆくのにも驚かされますが、その結果として空気のきれいな美味しい山里地域とあっているため、ハイキングを楽しむ人々の来訪も少なくありません。
きれいな空気は人の呼吸器だけに止まらず血をもきれいにしてくれます。それは海辺の空気はオゾンが多いため肺を強くし血をきれいにする作用があることが科学者たちによく知られていますが、樹木もまた同じように見逃せないものを持っているのです。
山や里に育った巨木といえども、絶えず周辺のカビ菌や害虫などにおびやかされていますが、そこから動いて逃げられないため、自らを守る方法として長い歴史の中で、樹木は表面に (皮、根) 病菌や害虫を寄せ付けない「フィトンチッド」という薬の成分を造りだして自らを守っています。
この成分は人の呼吸器に入り込み買いを及ぼす雑菌類を排除する作用もしています。ハイキングで山道を行くと呼吸が清々しく気持ちが良いのはこの作用によるものです。
新型コロナウィルスやインフルエンザなどは雑菌にも有効に対処して血をきれいにし、私たちの健康を守ってくれる原点として重要な役割を果たしてくれるのではないかという感じを否定することができません。
筆者:伊藤傅一